糖尿病性腎症とは
このページでは、糖尿病性腎炎の特徴や原因、病状、病気、治療法などについて紹介しています。
糖尿病性腎症とは
糖尿病性腎症とは、毛細血管の一種である糸球体の硬化および繊維化によって起きる、糖尿病の細小血管合併症です。糸球体は血中の不要な老廃物を尿として体外に排出する役目を担いますが、慢性的な高血糖が続くと糸球体の濾過機構が破綻に陥り、その結果、糖尿病性腎症を発症させてしまいます。糖尿病性腎症は進行性の疾患であり、病期は一般に第1期から第5期までありますが、必ずしも全ての患者さんがこのモデルに当てはまるわけではなく、病状の進行の仕方や症状の現れ方は人それぞれです。
糖尿病性腎症の原因
糖尿病性腎症の原因は、糖尿病の原因とも言われる高血糖です。一時的な高血糖は問題ありませんが、慢性化してしまうと腎臓の糸球体へ影響を及ぼし始め、段階的に血管障害や膜に異常をきたすと同時に濾過機構が機能不全に陥り、血中の老廃物を尿を通じて外に排出することができなくなります。この濾過機構の破綻こそが糖尿病性腎症の状態ですが、その根本的原因は慢性的な高血糖です。
糖尿病性腎症の症状
糖尿病性腎症の症状は、第1期(初期)においては自覚症状はほとんどなく、第2期において微量のタンパク質の漏出があり、第3期において多量のタンパク尿が検出されるようになり、それと同時に血圧上昇、血管の破壊、腎臓機能の悪化と病状の進行が深まり、それに合わせて息切れや胸苦しさ、食欲不振、むくみ満腹感などの症状を自覚できるようになります。第4期、第5期に至ると、嘔吐や眠気、腹痛、発熱、手のしびれや痛み、易労感、嘔気なども現れ、症状が増幅していきます。
糖尿病性腎症の病期
- 第1期(腎症前期):
第1期は腎症前期とも呼ばれる初期段階ですが、この段階では、尿タンパク値(g/gCr)及びアルブミン値(mg/gCr)も正常で、たんぱく質の漏出(タンパク尿)も起きていません。自覚症状もほとんどなく、基本的には血糖コントロールのみで改善を促すことができます。
- 第2期(早期腎症期):
第2期は早期腎症期と呼ばれ、症状を自覚できる領域へ一歩進んだ状態です。この段階になると微量アルブミン尿(30〜299)、つまり、ごく微量のタンパク質(微量アルブミン)の漏出が起きています。しかし自覚症状はほとんどなく、厳格な血糖コントロールと降圧治療によってタンパク質の漏出を抑え改善させることができます。
- 第3期A(顕性腎症期):
第3期は顕性腎症期と呼ばれ、文字通り腎症が進行した状態です。顕性アルブミン尿で300以上、持続性タンパク尿で0.5以上という数値が検出され、腎症の進行によりタンパク質の漏出が増えていきます。この段階になると、厳格な血糖コントロールと降圧治療に加え、タンパク質制限も必要になります。
- 第4期(腎不全期):
第4期は腎不全期と呼ばれる段階に入り、より一層、腎症が進んで多彩な症状を自覚できるようになります。嘔吐、筋肉の強直、筋肉や骨の痛み、手のしびれ、腹痛、発熱、顔色が悪いなど、枚挙にいとまがありません。有効な治療は降圧治療、低タンパク質食、透析療法ですが、この段階になると治療で原状回復することは難しく、進行を遅らせることが目標になります。
- 第5期(透析療法期):
第5期は透析療法期であり、文字通り透析療法中の状態にあります。食事は透析療法患者への食事療法に準じたものとなり、治療はもっぱら透析療法ですが、腎症がさらに悪化すれば腎移植が必要になります。第5期は病期としては最終段階とみていいでしょう。
糖尿病性腎症の顕著な特徴は進行性であり、病状や症状が段階に応じて少しずつ悪化していくこと。とりわけ、1期~2期では自覚症状がほとんどないため、この段階では尿の検査をしない限り、糖尿病性腎症には気づかないのが実情です。そして3期以降に入ってようやく症状を自覚できるようになりますが、この段階に入ってから治療を行っても原状回復は難しく、病気の進行を遅らせるのがやっとの状態なので、ベストな対応としては第2期の段階までで糖尿病性腎症をみつけることです。
糖尿病性腎症の治療法
糖尿病性腎症の治療法は病期に応じておこなわれ、方法は多岐に渡ります。
- 血液検査
- 血糖降下薬による厳格な血糖コントロール(~第4期)
- インスリン療法(第4期以降)
- 降圧薬による血圧コントロール(全病期)
- 食事療法(2期までは糖尿病食、第3期以降はタンパク制限)
- 脂質コントロール薬の投与など多角的強化療法
- 透析療法(第5期)