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血液透析(HD)

腎臓は血液を浄化する働きを持っているが、その腎臓の働きが何らかの理由によって弱まる、あるいは働かなくなったことで必要となってくるのが血液透析。ここでは血液透析のしくみやメリット、デメリットなどをまとめています。

血液透析(HD)のしくみ

血液をきれいにして体内に戻すこと

血液透析は血液を浄化するのが目的です。では、どのように血液を浄化するのでしょうか。

大まかに言えば血液を人間の体内から体外へ出して、その血液を機械を通して浄化します。そして浄化された血液をまた人間の体内に戻すという仕組みです。以下で詳しく見ていきましょう。

静脈と動脈をつなぎ合わせたシャント

血液透析は1分間に200ml程度の血液を体外へ取り出します。それを数時間続けるので通常の血管では血液をまかないきれません。そこで、シャントと呼ばれる透析用の血液回路を作る必要があります。

これは、通常利き腕じゃない方の腕の手首付近、あるいは親指の付け根あたりを切開し、静脈を動脈を接合して太い静脈を作る手術です。この手術は局部麻酔で1〜2時間程度の手術で、日帰り手術も可能です。

このシャントから血液を体外に出し、浄化後は血液を体内に戻します。このシャント作成が終われば血液透析治療の始まりです。

ちなみに、このシャントを「内シャント」と言いますが、血液の出入り口作成方法は内シャント以外にも、人工血管、上腕動脈表在化、動脈・静脈直接穿刺、一時的留置カテーテル、長期留置カテーテルなどの方法があります。ただ、患者の約9割が内シャントだといわれています。

治療の内容

血液透析を受けるのは週に3回、1回に4時間程度というのが一般的です。体重や血液の状態によっては少ない患者もいますが、血液をより時間をかけて十分浄化した方が、患者の身体の負担は軽くなると考えられています。

毎回の透析治療の流れは、手術で作成されたシャント部の血液を取り出す用を動脈側、そして血液を戻す用の針を静脈側に指し、ポンプによってまず血液を抜き始めます。その血液がダイアライザーと呼ばれる人工腎臓の役割をする機械へ送られます。その人工腎臓の中で老廃物や尿毒素、余分な水分を除去し浄化された血液を体内に戻すのです。

各患者、あらかじめ血液から除去される余分な水分の量を決めて、それが引出された時点でその日の透析は終了となります。

血液透析(HD)のメリット

腎臓の機能を代替できる

腎不全になってしまうと腎臓の機能を代替するために透析治療(血液透析、腹膜透析)を行うか、腎移植を行う必要があります。ただ、腎移植は誰もが受けられる手術というわけではありません。そのため、腎機能が低下した患者で、腎臓移植をするほどではない、あるいは腎移植が受けられない患者は、血液透析治療を受けることになります。

透析治療は腎臓がまったく働かなくなったとしても、この透析治療を受ければ、腎不全そのもので命を落とすことはないというのが、透析の大きなメリットです。この治療を利用すれば腎臓が動かなくても生活していくことができるのです。

治療方法が確立されている

血液透析治療は確立している治療法です。この治療を受けることで何十年と生活できている患者も多くいます。他の内臓不全はこのような確立された治療が未だないものも多いのが現状です。

日本は「透析合併症研究」をリードする国のひとつ

透析にはいくつか種類がありますが、日本では「血液透析」が主体となっています。

その理由の一つは、過去に政府が主導して血液透析の普及を行ったことです。血液透析が保険制度に導入されたことを皮切りに、「慢性腎不全の治療といえば血液透析だ」というイメージが定着してしまったのです。

定着してしまった、と言っても悪いことばかりではありません。透析器の開発が積極的に進められ、透析医たちによるきめ細かい管理が功を奏して日本での血液透析の生存率は向上し、結果として血液透析が安定した治療として確立する基礎が固まりました。

そのため、日本では血液透析を受ける患者数が多く、その分「長期透析合併症」の研究がいち早く進み、日本は「透析合併症」の分野において世界をリードする存在となったのです。

*参照元:【PDF】最新の腎移植統計:欧米と日本の末期腎不全治療の対比(2004年)

血液透析(HD)のデメリット

あくまでも腎臓の働きの代替

腎臓が正常に動くに越したことはありません。いくら生存率が高いとはいえ、血液透析はあくまでの腎臓の機能の一部の代わりをしているに過ぎません。透析に加えて、薬の服用や生活の管理など、同時にやらなければならないことが出てきます。

一生治療を続ける必要がある

当たり前ですが、腎不全は腎移植以外では回復することはありません。血液透析治療は一生続くて行く必要があるのがデメリットと言えます。週に3回通院し、毎回4時間程度透析治療をする。これを生涯続けることになります。

続けるだけでももちろん大変ですが、なおのこと働きながら治療をするのはかなり大変なのが現実です。

副作用1:不均衡症候群

透析導入機にかかりやすい合併症のひとつが不均衡症候群です。

これは透析中から透析後12時間以内に起こるもので、頭痛、吐き気、嘔吐などの症状です。原因は血液透析により血液中の老廃物などが急激に浄化されるが、脳などの老廃物は浄化されにくいので、そのギャップから起こるもの。脳の老廃物を薄くしようと脳が水を吸収しむくむことで引き起こされます。この副作用は透析に身体が慣れてくれば自然となくなるものです。

副作用2:血圧低下

血圧低下は特に起こりやすい合併症です。

特に起こりやすいのは高齢の方や糖尿病が持病の方など。症状はあくびや吐き気、嘔吐、頭痛、動悸などで、原因は心機能障害や透析による血液の循環量の減少など。中にはめまいや倦怠感などが強く、日常生活に影響が出てしまう人もいるようです。

その他の副作用

透析導入初期に多いのは、筋肉の痙攣です。他にも、透析中に足がつるといった症状が現れる方もいます。

また、高血圧、貧血、感染症、二次性副甲状腺機能障害、アミロイド骨関節症、高カリウム血症などが副作用として見られることがあります。

血液透析(HD)の種類

長時間透析

長時間透析は1週間で18時間以上の透析をさします。十分透析ができることでより多くの老廃物や毒素、余分な水を除去することができます。

ポイントは、緩やかに余分な水の除去ができることで血圧低下などを防ぎ身体への負担が少ないこと。ただし18時間以上ですので週3回ならば1回に6時間以上受けなければならず、仕事などがある方には厳しい治療です。

また、長時間動くことができないという不自由さがあるのもデメリットといえます。

頻回透析

連日、あるいは1日おきで回数を多く透析を受けることです。透析をしない日が中1日以上出ないので身体にとってもより良い選択と言えます。

腎臓は24時間動き続けています。したがって透析も頻度が多いのがいいのは間違いありません。しかし、リタイアしている方など多くの時間がある人でなければ難しいのが現状です。

オーバーナイト透析

仕事などがあり、日中に透析を受けに行くことが難しい人向けの透析治療がオーバーナイト透析。夜間の睡眠時間を利用したもので、終わるまでの時間を待つ、あるいは過ごす必要がないので無駄がない上に、透析時間も7時間ほどの長時間透析となるので多くの老廃物などを除去できるのがメリットです。

在宅血液透析

自宅に透析用の機器を導入し、在宅で血液透析を行うのが住宅血液透析。自分で針を刺すのは難しいので多くの場合介助者が必要。また自身もそして介助者も十分な透析に関する訓練を受ける必要はあります。しかし、自宅でできるようなれば、より自由に、そして時間も長時間の透析ができるのがメリットです。

治療に適している方

週に3〜4回は通院し、4時間程度治療を受ける時間を持てる人に適している治療です。この血液透析治療は標準化された治療ですので日本全国で治療を行なっている病院があります。したがって、もし国内旅行などをしたい場合でも旅行先で血液透析治療を受けるということも不可能ではありません。

治療に適していない方

適している方とは反対で、通院あるいは自宅に機器を導入したとしても「血液透析治療を受ける時間を取れない」という人には適していません。

まとめ

ここまで血液透析についてお話ししてきました。この治療は標準化された治療であり、かつ予後がとても良いのがメリットです。

一方、治療時間を生活の大きな部分を占めてしまうという点はやはりつらいところ。しかし、最近では自宅に機器を導入して自宅で血液透析をしている方も増えてきているようです。メリット、デメリットありますが確立された治療なので安心して受けられる治療であるといえるでしょう。

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