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糖尿病と腎臓病

ここでは、糖尿病の「三大合併症」の一つである糖尿病腎症について、原因や症状、検査方法、治療方法などを具体的にご紹介します。

糖尿病と腎臓病の関係

糖尿病そのものには、多飲や多尿など以外、特別な自覚症状がありません。一方で糖尿病は、命に関わるさまざまな病気を誘発する病気の一つ。痛みや体調不良などを自覚しないまま症状が進行するため、合併症を発症して初めて糖尿病であることが分かった、という例も少なくありません。

糖尿病の重大な合併症の一つが糖尿病腎症。糖尿病の「三大合併症」と呼ばれる病気の一つです。
糖尿病は、血管の動脈硬化を促進する代表的な病気の一つ。国内外で行われた多くの研究を通じ、すでに糖尿病と動脈硬化との密接な関連性は定説となっています。
糖尿病の影響で腎臓の微細な血管に動脈硬化が生じると、腎機能が低下。老廃物のろ過機能が失われ、糖尿病腎炎へといたります。

なお、糖尿病を原因とする動脈硬化は、当然ながら腎臓内だけではなく全身で起こります。心臓の冠動脈に起これば心筋梗塞のリスクが高まり、脳内の血管で起これば脳梗塞のリスクが高まります。
自覚症状はほとんどないものの、糖尿病は命に関わる重大な病気であることを、まずは理解しておきましょう。

糖尿病腎症とは

糖尿病の三大合併症である糖尿病腎症について、その原因や病期分類、症状、検査内容、治療方法などを具体的に解説します。

糖尿病腎症の原因

糖尿病腎症の直接的な原因は、糖尿病によって生じた腎臓内の動脈硬化。また、糖尿病腎症の症状を悪化させる要因として、高血圧や肥満などの生活習慣病も挙げられています。

糖尿病による腎臓内の動脈硬化

左右に2つある腎臓の中には、糸球体と呼ばれる微細な血管組織が合計100万個ほど存在しています。この糸球体に十分な血液が運ばれることで、腎臓は正常なろ過機能を保つことが可能となります。
ところが糖尿病になると、糸球体の血管組織に動脈硬化が発生。血管の通り道が狭くなり、血液不足で腎機能が低下します。すなわちこれが糖尿病腎症です。

高血圧や肥満などの生活習慣病

高血圧や肥満などのいわゆる生活習慣病は、動脈硬化を悪化させる主要な要因です。結果として糖尿病腎症を悪化させる要因にもなるので、生活習慣病を指摘されている方は注意しなければなりません。

糖尿病性腎症の病期分類

糖尿病腎症は、その症状の進行程度に応じ、第1期~第5期までの5段階に病期が分かれます。それぞれの病期の判定基準について、以下、日本腎臓学会の資料をもとにまとめました。

糖尿病腎症における病期の判定基準

病期 尿アルブミン値(mg/gCr) あるいは 尿蛋白値(g/gCr) GFR(eGFR) (ml/分/1.73m2)
第1期 (腎症前期) 正常アルブミン尿(30 未満) 30以上
第2期 (早期腎症期) 微量アルブミン尿(30~299) 30以上
第3期 (顕性腎症期) 顕性アルブミン尿(300 以上) あるいは 持続性蛋白尿(0.5以上) 30以上
第4期 (腎不全期) 問わない 30未満
第5期 (透析療法期) 透析療法中


※参照:日本腎臓学会「糖尿病性腎症病期分類の改訂について」(筆者編集)
https://cdn.jsn.or.jp/academicinfo/ckd/dm_nephro.pdf


尿検査と血液検査を通じ、上記の数値を測定して病期が診断されますが、第1期の場合、陰性と判断されることもあります。第2期にいたって微量のたんぱく尿を認めますが、適切な治療を受けることで状態を改善させることが可能です。
しかしながら第3期に入ると状況は一変。たんぱく尿の濃度が急激に上昇し、かつ高血圧の症状が併発して腎臓内における動脈硬化が進行します。
第3期・第4期に入ると、薬物治療などによって症状の進行を遅らせることはできるものの、第1期・第2期とは異なり、基本的には症状の改善を目指すことはできません。
第5期では、人工透析や腎移植を受けない限り、生命を維持することは困難となります。なお腎移植を受けた場合、ほとんどの方は腎臓病を根治させることができます。

症状

第1期から第5期まで、病期に応じた糖尿病腎症の自覚症状を見てみましょう。

病期 自覚症状
第1期 基本的に、自覚症状はありません。健康診断の尿検査や血液検査を経ても、糖尿病腎症であることが確認できないことがあります。
第2期 基本的に、自覚症状はありません。ただし、健康診断の尿検査や血液検査、精密検査などを通じ、糖尿病腎症であることが確実に判明します。血圧上昇の傾向が見られる場合もあります。
第3期 患者によって、むくみ(浮腫)を自覚する場合があります。尿検査を通じて著しいたんぱく尿が確認され、腎機能(老廃物のろ過機能)が急激に低下します。
第4期 慢性的なむくみを自覚します。また、貧血や倦怠感、手足の神経痛などの尿毒症の症状も自覚することがあります。
第5期 人工透析の副作用で、頭痛や吐き気などを自覚することがあります。腎移植を受けた患者については、移植にともなう拒絶反応や、薬物の影響による各種副作用を自覚することがあります。

検査内容

糖尿病腎症の検査は、通常、尿検査と血液検査によって行われます。尿検査ではたんぱく尿の量が測定され、血液検査では血中クレアチニンの量が測定されます。いずれも、上記「病期」の表で示した数値を基準にステージが判定されます。

尿検査

尿検査では、尿中のアルブミンの量が測定されます。アルブミンとは、卵白などに多く含まれるたんぱく質の一種。健常者の尿中には、アルブミンがほとんど検出されません。よって尿検査を受けることにより、極めて正確に糖尿病腎症の診断を行うことができます。

血液検査

血液検査では、血中のクレアチニンの量が測定されます。クレアチニンとは、体内で生まれる老廃物の一種。糖尿病腎症によって腎臓における老廃物のろ過機能が低下すると、血中のクレアチニンの量が増大します。

治療方法

糖尿病腎症と診断された患者は、以下の3種類の治療を並行して受けることになります。

食事療法

第1期・第2期の患者には、糖尿病食による食事療法が行われます。第3期以降の患者には、低たんぱく食による食事療法が行われます。
また、特に第2期以降の患者で高血圧症が見られる場合、塩分制限も並行して行われます。

血糖コントロール

病期にかかわらず、すべての患者において薬物による血糖コントロールが行われます。第1期から第3期までの患者においては内服薬、第4期と第5期の患者においてはインスリン療法にて血糖コントロールが行われるのが一般的です。
血糖コントロールの目標値は、、空腹時血糖130mg/dL以下、食後2時間後血糖180mg/dL以下、HbA1c7.0% (NGSP) 未満となります。

血圧コントロール

病期にかかわらず、高血圧の傾向が見られる患者については、薬物による血圧コントロールが行われます。
基本的には、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII(AT1)受容体阻害薬(ARB)、いずれかの降圧剤が用いられますが、これらで降圧降下が不十分な場合には、Ca拮抗薬やα遮断薬、β遮断薬、利尿薬なども用いられることがあります。