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腎移植

腎臓が働くなった場合の治療は透析治療または腎移植です。腎臓そのものを新しくすることで根本から腎臓に関わる病気を治し、普通の日常を取り戻すことができるという意味では、腎移植はとても有効な治療法と言えます。しかし、簡単にできるものでもないのはご存知の通りです。

ここではその腎移植のしくみやメリット、デメリットなどを見ていきましょう。

腎移植のしくみ

他の人の腎臓を移植し腎臓の働きを取り戻す

腎移植は親や子などの親族から2つある腎臓のうちの1個の提供を受ける生体腎移植と、脳死または心停止した人から腎臓の提供を受け移植する献腎移植の2つの移植方法があります。

腎移植と透析治療の違いは根治性があるかどうか。腎移植は不全となった腎臓を別の正常に動く腎臓に代えることなので、成功すれば根治できる治療方法です。

予後もよく、何より腎不全時から生活の質が大きく改善が見込まれる治療です。

腎移植のメリットは「根治治療」

透析治療は一生涯治療を続けていかなくてはなりません。

しかし腎移植は移植が成功してしまえば腎機能は回復する、つまり腎不全を根治したことになる根治治療なのです。通院も月に1〜2度で済むため、社会復帰率もとても高いと言えます。

拒絶反応

移植された腎臓は異物として認識されます。したがって、身体はその異物を取り除こうとする免疫機能が働きます。これを「拒絶反応」といいます。

中でも、術後1ヶ月以内程度に起こるのが急性拒絶反応。発熱や尿の減少、浮腫などがその症状で、これは免疫抑制剤の服用で多くの場合抑えられます。

一方、慢性拒絶反応は術後3〜6ヶ月以降に現れるもので、これは数年に渡って人機能が低下していくもの。悪化すると透析治療が必要になる場合があります。

腎移植の種類

生体腎移植

生体腎移植は親や子などの親族や配偶者から1個の腎臓の提供を受けて移植することをいいます。

ドナーとなるには医学的・倫理的条件がある

生体腎移植のためのドナー(腎臓の提供者)になるには医学的、そして倫理的な複数の条件を満たすことが求められます。しかし医学的条件については個々の医師が医学的に判断したものが基準となるので、病院、あるいは医師それぞれで違う場合もあります。

条件としては、まずは親族であること。細かく見ると6親等以内の血族や配偶者、または3親等以内の姻族が条件となります。

そして、心身ともに健康で、腎臓が2つとも正常に働いていること。全身性の感染症、悪性腫瘍などを患っていないこと。加えて、自発的に腎臓を提供するという意思表示をしっかりできる人である必要があります。

治療の流れ

腎臓の提供を受ける方と腎臓を提供するドナーの適合性を診るために事前検査をします。

主な検査は血液、尿、感染症検査、組織適合性(HLA検査)、クロスマッチテストなどを行い、手術ができるかどうかを判断します。これらの検査等を経て移植手術をできるまでには2~3ヶ月ほどかかります。

移植手術

腎移植手術は基本、不全となっている腎臓をそのまま体内に残します。残した上で提供をうけた腎臓を下腹部の左右どちらかに入れ、その付近にある大きな動脈と静脈に提供を受けた方の腎臓の血管をつなぐ。そして、さらにその腎臓についている尿管を膀胱とつなぎます。手術時間は多くの場合4時間程度で終わり、退院までは1ヶ月程度はかかります。

ドナーの腎臓摘出手術とは

ドナーから腎臓を摘出する手術は、開腹手術と内視鏡下手術の2種類があります。現在はカラダへの負担も軽く、傷も小さくできるので内視鏡下手術が多く行われています。全身麻酔で行われる手術時間は、およそ3時間程度。開腹手術に比べるとどうしても手術時間が1時間ほど多くかかってはしまいますが、術後は1週間もすれば退院できる上に、すぐに日常生活にも戻れて、社会復帰も可能です。

ただし、内視鏡下手術には欠点として狭い空間で手術が行われるため難しく、摘出する腎臓へのダメージや、出血、合併症などが起こる危険性は開腹手術に比べ高いと言われています。

ドナーの腎臓が1つになることのリスクは?

腎臓の提供を受ける方にとって気になるのは、提供者が腎臓が1つになっても大丈夫なのかということでしょう。摘出後のドナーの死亡事例は2013年にありますが、死亡する確率はほとんどゼロに近いと言われています。提供後に透析が必要になるほどの腎不全に陥るケースもまれです。

しかし、やはり腎臓が1つになってしまうことで腎機能が約2〜3割ほど低下してしまうのは避けられません。また、提供後には、ドナーに高血圧・たんぱく尿が現れることがあります。いずれにしても、ドナーは腎提供のリスクについて十分な説明を受けた上で、提供後には最低でも1年に1度は定期的な外来受診をするのが大切です。

*参照元:生体腎移植・ドナーのリスク|全腎協

生体腎移植のメリット

生体腎移植は十分な準備ができる手術です。事前の検査等を2〜3ヶ月かけ、移植手術のスケジュールをあらかじめ立てることができます。

また、健康なドナーからの移植となりますので、腎臓の状態が良く、移植した腎臓が機能する率である生着率もかなり良好です。

生体腎移植のデメリット

健康な人から腎臓を摘出するという手術が必要だということは、自分一人の問題ではないのでデメリットと言えるのではないでしょうか。

また、腎臓摘出手術を受けた提供者も、手術後は定期的に病院を受診して検査などをし続ける必要があります。

献腎移植

献腎移植は脳死または心停止した方で、生前に書面で臓器提供の意思を示していた方、あるいは親族が提供を承諾した方の腎臓の提供を受けて移植すること。

治療の流れ

献腎移植を希望する場合、透析治療を受けながら腎臓の提供を待つことになります。なぜなら、献腎移植を受けるまでの平均待機期間が成人では約16年というデータもある通り、候補者として選ばれるまではかなりの時間がかかることが多いのです。

腎臓移植を希望する場合はまずは透析治療を受けている施設に相談し、移植施設を通して公益社団法人日本臓器移植ネットワークに登録しなければなりません。そして腎臓の提供者が出たときに、その登録者の中から選択基準に沿って候補者が選ばれて移植が実施されるのです。

移植候補者の選択基準とは

候補者の選択基準はポイント制。血液型や提供施設と移植施設の場所や距離、HLA型ミスマッチ数、待機している期間等がポイントとして計算され、かつ6歳未満の小児待機者に14点、16歳以上20歳未満の待機者には12点が加算されて、ポイントが高い順から優先して選ばれます。

移植手術

手術自体は生体腎移植と同じ流れ。働かなくなった腎臓をそのまま体内に残した上で提供された腎臓を下腹部の左右どちらかに入れる。そしてその近くに流れている大きな動脈と静脈に、提供された腎臓の血をつなぎ、さらに尿管を膀胱とつなぎます。手術時間は4時間程度が平均。退院まではやはり何もなければ1ヶ月程度はかかります。

献腎移植のメリット

生体腎移植と違い、ドナーに負担をかけないと言うことはメリットと言えます。

献腎移植のデメリット

献腎移植のデメリットはなんと言っても腎臓の提供を受けられるまでに待機期間が長いこと。成人でおおよそ16年程度の待機時間が見込まれます。したがって、その間に病状の進行などがある場合もあります。

また、提供された腎臓の状態によって、例えば移植してしばらくは尿が出ないなどもあり、術後も透析治療を必要とする場合があります。また生着率も生体腎移植と比べると少し低いのがデメリットです。

まとめ

ここまで腎移植についてお話ししてきました。透析治療は一生続けなければならない治療であり患者にとって負担は大きいのが現実です。そして、この腎移植の最大のメリットは「根治療法」だということに尽きると思います。

腎移植のおかげで腎機能が回復すれば社会復帰もでき、普通の日常を取り戻すことができるのです。とは言え、ドナーのこと、あるいは親族等にドナーがいなく臓器提供者を待つ生活など、クリアしなければならないことも多くあります。腎移植を考えてらっしゃる方、や親族が腎移植を検討している方に、この記事を参考にしていただければと思います。

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