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腹膜透析(PD)とは

腹膜透析(PD)とは、腎臓がほとんど機能しなくなった方に行われる腎代替療法のひとつで、近年の欧米では血液透析にならんで普及している治療法です。日本では透析を受けている人の95%が血液透析を受けていると言われていますが、最近では病状や生涯のライフサイクルにあわせて、腹膜透析を選ぶ方も増えてきました。ここでは、腹膜透析とはどんな治療法かを詳しく解説しています。

腹膜透析(PD)のしくみ

お腹の中に透析液を入れておき、腹膜を通してにじみでてきた血液中の余分な水分や老廃物を、その透析液に移行させる治療法です。透析液を1日数回交換することで、きれいな血液を保てます。この治療法は従来から多くの医療機関で採用されていましたが、お腹の中に菌が入ってしまうと腹膜炎を起こすリスクがあるため、血液透析が普及しはじめてからは特殊なケース以外あまり行われなくなっていました。

携帯式カテーテルの開発で普及

20年ほど前にお腹の中に残しておけるカテーテルが開発されました。これにより、腹膜炎のリスクを軽減しながら透析液を携帯できるようになりました。この画期的なシステムは持続携帯式腹膜透析(PACD)といい、病院の外でも腹膜透析ができるようになり欧米で広く普及しています。日本では腎臓病患者の約3.4%とまだ受ける方が少ないですが、自宅で、しかも自分で透析できる方法として普及しつつあります。

血液透析とのちがい

体の中に蓄積した老廃物や余分な水分を取り除く点では同じですが、腹膜透析と血液透析とでは浄化する方法がちがいます。血液透析は血液をいったん体の外に出して透析器に通して血液を浄化させます。

それに対し、腹膜透析では血液を外に出しません。お腹の中にカテーテルで透析液を注入し、一定時間おいてから古くなった透析液を捨てます。腹膜内に透析液を入れておくと、腹膜の血管から老廃物や水分が透析液ににじみ出てきます。これにより、血液の浄化が行えるという原理です。

事前に手術が必要

腹膜透析を行うためには、透析液を出し入れする専用のカテーテルをお腹に埋め込む必要があります。前もってカテーテルを埋め込んでおき、傷がしっかりと癒着するまで数週間待ってから、そのあと先端部分だけを体外に出す方法がとられるのが一般的で、カテーテルは半永久的に使用できます。

埋め込みの手術自体は1回ですが、カテーテル埋め込み時と体外に出す段階で、計2回の入院が必要です。カテーテルを出したあとから、腹膜透析がはじまります。カテーテルと透析液を、自分で接続したり外したりするセッティング技術が必要です。入院中にしっかり練習して、習得してから退院します。

腹膜透析(PD)のメリット

自宅で行える

自宅で1日数回、透析液を交換すれば良いので、自宅で透析ができます。職場や学校など、清潔な場所であればどこででも可能です。さらに、古くなった透析液をお腹の中から捨てて新しい液を自動的に注入する自動腹膜透析(APD)という器械を使えば、昼間に透析液を出し入れせずに済みます。

通院が少なくて済む

血液透析のように週3日も透析施設へ行く必要がありません。透析前後の体調の変化もほぼないので、月1~2回の定期通院でOKです。

旅行ができる

専用の薬剤と器材があれば、どこへでも旅行できます。旅行中もバッグを交換する手間と時間のみ。事前に透析施設があるかを調べて予約をとる必要もなく、透析のために長時間拘束されることもありません。

腹膜透析(PD)のデメリット

継続期間に限りがある

腹膜透析には継続できる期間が限られていて、5~8年とされています。自分の腹膜を使って長期間透析を続けていると、どうしても腹膜が傷んでくるためです。腹膜の機能が低下してくると、透析の効率が悪くなります。長期間の腹膜透析でこれ以上腹膜透析ができなくなった場合、血液透析か腎移植への移行をすすめられます。

自己管理が必要

腹膜透析は自分自身や家族に処置の管理を任せられます。そのため、自分でバッグの交換が行える方か家族のサポートを受けられる方でなくてはなりません。常に腹膜炎を起こすリスクがあることをしっかりと理解し、主治医と密に相談しながらすすめる必要があります。

腹膜透析(PD)の種類

腹膜透析(PD)とひと口に言ってもさまざまな治療パターンがあります。透析をする時間帯や回数に合わせたもの、活動する場所に合わせたものなど、今では生活スタイルに合わせて選べるようになりました。

連続携行腹膜透析(CAPD)

1日に数回、透析液を交換する方法です。自宅や職場、学校など、専用の薬剤と器材があれば日常生活を送りながら透析ができます。24時間ゆっくりと透析を行なうため、体への負担も少なく、高齢の方にも適しています。

自動腹膜透析(APD)

寝ている間に自動的に透析を行ない、日中はこれまでと同じように過ごせる方法です。サイクラーとよばれる自動腹膜循環装置で就寝中に透析液を循環させます。昼間じゅう自由に行動できるので、健康な方と同じように仕事もできます。

連続循環式腹膜透析(CCPD)

連続携行腹膜透析(CAPD)と自動腹膜透析(APD)を組み合わせた方法。APDで夜間のみ透析を行って、それでも透析の量が足りないとき、残腎機能が保てなくなったときに行います。

治療に適している方

1日おきの通院が困難な方

週3回の通院や長時間の透析が難しい方に向いています。血液透析の場合だと1日に4~6時間かかりますが、腹膜透析なら1日数回、30分程度で完了します。地理的に不便な方、仕事や家事を休めない方、育児中の方など、通院が困難な方は医師に相談してみると良いでしょう。

体力のない方・高齢者

24時間かけて血液を浄化するので、血液透析に比べると心臓への負担が少ない腹膜透析。緩やかな透析は体調の変化も起きにくく、体力のない方や高齢者にも適しています。腎臓が少しでも機能している間は食事管理も緩やかなので、体力のなさを感じている方は腹膜透析での治療が可能か、医師にたずねてみてはいかがでしょうか。

治療に適していない方

腹部の手術をしたことがある方

腹部手術をしたことがある方は、手術の内容によっては腹膜透析を受けられません。腹膜の癒着や硬化が起こる危険性があるためです。腹膜透析では腹膜にカテーテルを常に留めておく必要があるため、手術の既往歴がある方は、医師の判断を仰いでください。

人工肛門をつけている方

人工肛門とカテーテルの出口が近い場合、清潔に保てないことがあるため腹膜透析を受けられません。人工肛門をつけている方は、腹膜透析を避けたほうが良いとされています。

ヘルニア・腰痛のある方

腹膜透析ではお腹の中に透析液を貯めるため、腰痛やヘルニアが悪化することがあります。医師にきちんと相談してから治療をすすめるかを決めましょう。

まとめ

血液透析に比べて、心臓への負担が少なく自由度が高い腹膜透析ですが、腹膜炎という危険性の高い合併症を引き起こすリスクがあります。腹膜透析を選ぶなら、常に清潔を保って自分自身の身体を管理する心がけや定期的な通院と検査が大切です。

腎機能をより長く保ち、尿が出なくなる時期を遅らせるなど、血液透析の前段階として腹膜透析が選択できるようになってきました。また、病状によっては血液透析から腹膜透析への移行が可能なケースもあるようです。この先の生涯、血液透析しかないと諦める前に、まずは腹膜透析からはじめられないか、生活に合った透析方法がないか、主治医に相談してみてはいかがでしょうか。

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